猛暑日となりそうな朝の日差しと、昨日レイトショーを観に行った寝不足感で身体が早くも気だるい。


先日、実家の家に近くに出来たインテリアショップが潰れた。そのショップはぼくの実家から最寄り駅までの道の間にあり、5年くらい前に出来たショップで、その前は酒屋が入っていたテナントだった。駅からは微妙に遠く、商店街の中にあるわけでもなく、歩道が公道と一体化している狭い道路の急坂を下った場所にあり、車通りも多く、つまるところ立地が非常に悪い。それでいてインテリアショップとしては敷地が広い訳でもなく、内装はこぎれいではあるものの大きい物はシステムキッチンからソファから、小さい物は流行物のタジン鍋とかそういったものを扱っていて、特別安さを売りにしているわけでもなく、青山とか表参道とかそのあたりにあるようなショップ風なのだけれど、残念ながらここはベッドタウンの住宅街なので、とても入りづらい雰囲気なのであった。最悪なのは前の酒屋の頃からあった、栄養ドリンクの自動販売機がどーんと入り口の横に鎮座していることで、もうこれは一刻も早く撤去すべきだとつねづね思っていたのだけれど、結局最後まで鎮座し続けた。


そういった、なんというかとても残念なショップだったので、開店してから通る折りに、早々にダメになるだろうな…、と思いながら通り過ぎていて、家族もあそこは絶対ダメだよねと言っていたけれど、果たして先日とうとうその通りになった。


こういうことも、終わってからなら何とでも言えるものだとは思うし、ましてやぼくは外野で、河に落ちた犬を棒で叩くみたいな事になってしまうけれど、あの場所でさえ開店するからには何かしらの勝算があって始めたはずである。誰かにひどく騙されたりしていなければ、運を天に任せてなけなしのお金をはたいて開店なんてしないはずであり、儲かる儲けようと思って始めるはずである。けれども外から見る限り、まったくそういった勝ち目が見えなくて、これはもう本当に失礼な言い分になるのだけれど(この段落はすべてそういう失礼な言い分なのだけれど)、いったいどうしてあそこで開店しようと思ったのか、どういう勝ち目をみたのか、そういうことを知りたいと思った。


もし自分ならばと考える。多分急場では広告宣伝を頑張るしか無いだろうなと考える。前の会社でそういった小さいショップの企画運営をやっていたときは、チラシとかブログとかメルマガとか、そういう当たり前のようなことを本当に地味にコツコツと積み重ねてお客さんを増やしていくしかなかった。そういうコツコツもちょっとサボってしまっただけであっという間にお客さんが減って行ってしまう。安売りセールは難しくて、やった瞬間は効果が出るけれどお客さんがそれに慣れてしまうと逆効果になったりする。結局の所はそういう戦術レベルでコツコツ急場を凌ぐ一方で、視野を引いた戦略レベルでの大転換が絶対に必要になる。ましてや今回の場合立地で完全に負けているので、コンセプトそのものをたぶん環境に合うよう変えて行かなければダメだろうなと思う。自分の場合は組織だったからそういった戦略戦術の分業が出来た分いいものの、個人商店でそれをやるというのはきっと本当に大変だろう。


そのショップのあったテナントは、いまも次のお店が入って来ないままである。