長いこと喋る人

二日酔い気味の日曜、しかし快晴で自転車日和だったので重い身体に鞭打ってチームメンバーと南多摩方面へ練習へ行く。若葉台の辺りだろうか、丘でほどよい高低差がある街並の間を走ったが、そこはとても綺麗で、こういう場所に住みたいなと思う。小高くて遠くを見渡せる場所が好きだ。

二日酔いだったのは、小学校時代の同級生らと地元で少し早めの忘年会をしていたからで、ぼくを含めて7人のメンバーが集まった。数年前は同じ小学校の同級生で規模の大きい忘年会をして、その時は15人くらいのメンバーが集まったものだけれど、結局いまはこの7人くらいの規模に落ち着いて、半年毎くらいのスパンで飲み会をしている。7人のうち2人は既婚で、その1人は子供もいる。酒の肴には必ず、(小学校の)誰それが結婚したんだって、という話を聞く。そういう歳になってきたものだなと思う。

メンバーのうちの1人で、よく喋る男がいて、まぁ長いこと喋る。酒が入らなくても長いこと喋るし、酒が進んでくるといよいよ長いこと喋る。早口で声も大きいので場が飲み込まれてしまい、結局みんなでその男の話を聞くことになる。他のメンバーはその事を全員把握していて、彼が居ないときはまぁ喋り長くて困ったやつだよね、みたいな事を言いあっている。

おれはどちらかと言えばあまりこういった場所では喋らなくて、喋るよりも他の人の話を聞いていたいから喋れないというストレスは無いのだけれど、彼以外の人の話を聞きたいなと思う。そうして話の切れ目に他の人に話題を振るのだれど、合いの手で結局彼に話が戻っていってしまう事も多くて、困ったなぁと思いながらまた聞く。

おれの周りにはそういった、長いこと喋る人というのが多くて、例えば親父や上司なんかがそうなのだけれど、そういう人の話を聞いていてだいたい思うのが、このひと長く喋るけれど上手く喋る人ではないなぁということだ。最初の話からどんどん話がずれて行く、同じ事を何度も繰り返す、いつ結論に辿り着くのか分からない、合いの手を入れる隙がない、だいたいそういうパターンが多い。そういう喋りを聞いていると内容よりもそういった部分に集中してしまうものだから、中身をはっきりと覚えていなくてあとで困った事になったりする。喋りとかコミュニケーションが上手いなぁとおれが思う人はことごとくこの逆を行っているふうに思う。

おれはコミュニケーションが上手くないから偉そうな事は言えないのだけれど、長く沢山喋っていれば、喋る能力が高まるわけではないのだなぁと感じる。