『惑星をつぐ者』

TL眺めていたら表題の漫画がKindle化していたとの報をみて、光速でダウンロードした。懐かしい。おれが中学生くらいの頃に連載していた気がする。少年ジャンプで。非常にも9週打ち切りという憂き目に遭ってしまったが(おれにしては珍しくアンケートまで出したのに…)、当時すごい好きな漫画だったので、こうして電子書籍でまた読めるのは嬉しい。

 

"とある銀河系の中では、さまざまな異星人達が存亡を賭け宇宙に進出している。その中で人類は滅亡しつつあった――。多くの人類が奴隷として異星人に従う中、全宇宙で犯罪を重ね指名手配になったバラダット・ナイブスという一人の男が灼熱の星ダウロスにやってきて……。"

 

SFである。とにかくハードなSFで、改めて読むとよくこんな劇画調かつハードな設定の漫画が少年ジャンプでやっていたものだと思う。そのため人気が出なかったのだろうが…。けれども当時のおれは、主人公ナイブスが使う『自在剣』(スパイラルナイフ)(この名前もカッコいい)がめっちゃかっこいいと思った。また、宇宙が舞台という新鮮さ、いろんな種族がかっこよく登場するその世界にワクワクしたものだ。

 

特に自在剣。剣と書いてあるが、光球を飛ばしてその軌跡が囲う敵を、サイコロのように切り刻むのだ。もうマジかっこいい。それを剣と呼ぶセンスがまたいい。さらに、自在剣を持つもう1人のキャラが登場するのだが、彼の自在剣は古い(始祖)ためナイブスのものと見た目や刻み方が異なる。そういう細かい設定も堪らぬ。

 

他にも、オーロラが綺麗に見える星は磁気がないから、だとか、宗教をもってアンバランスな集団を率いている、だとか、細胞振動させて体温調節するといった細かい設定まできっちり考えられている漫画なので、描写に説得力があるのがいい。

 

展開の思い切りも今見るとすごくいいセンスだ。例えば2話は、いきなり新しい敵と一線交えた後から話が始まる(一戦目も1コマでサラッと説明する)。また3話でも、2話で奪った宇宙船がいきなり撃墜されるシーンから始まる。2話3話で打ち切りを織り込んだ端折った展開をするとは思えないので、こういうのは作者のセンスであろうと思う。

 

人外の生命体もたくさん出るのだが、造形も内面もかっこよくて魅力的だ。

 

打ち切りなのだが、そうは思えないほど綺麗にまとまっている良作なので、SF好きなら読んでみてほしい。