試験

 新しく入った会社で取れと言われていた資格試験に合格した。世間一般的にはそれほど難易度も高くないものだけれど、この資格が無いとのちのち査定に影響するらしく、今の会社の採用通達時から早めに取れと言われていた。その頃は採用されたことでちょっぴり浮かれていた勢いではいはいと頷いて入社後ボスに、来月の試験申込しましたと答えたら、この試験は高校生でも通るぞお前ぜったい一発で通れ、などと異様にプレッシャーを掛けられてしまい、内心しまったと思った。のちに他の社員さんに聞いたところによると、それほど急いで取る必要もないようで、改めて内心しまったと思った。


そういった訳でここ1ヶ月、数年ぶりにしっかりとした試験勉強というものをやっていた。通勤時間中に試験の本を読んだりiPhoneで購入した試験アプリでミニテストをしたり、試験10日前くらいからは朝と寝る前に過去問を解いたりと、久しぶりにそれなりに真面目な勉強をやっていた。勉強の内容は確かに会社で使う実務に直結するものだから役に立つ知識だったし、解いていて自分が楽しいと感じる分野のものだったから飽きる事はなかった。


その試験は日曜にあったのだけれど、その直前の金曜日と土曜日は出張でまったく勉強ができず、そればかりか金曜土曜と仕事の飲み会が続いたせいで、日曜の朝はわりと最悪な体調で試験会場に向かった。試験開始から時間が経つにつれて二日酔いなのかどんどん体調が悪くなり、後半は朦朧とした状態で問題を解いた。さらに判断力も鈍っていたせいか、試験終了30秒くらい前に見直していた箇所で、よくよく考えたらこれ答え違うんじゃねぇのこっちが正解だろと思ってあわてて直した箇所が、直す前の答えで合っていた事にチャイムが鳴った直後に気づき、心身ともにダウナーな気分で試験会場を後にし、午後はずっと自分の家で寝込んだ。翌日ボスに、すみません色々あってギリ落ちたかもしれないですと率直に述べたら、おれなんか半分寝てても受かったぞと武勇伝を語られ、その後もこいつ落ちたっぽいぞあんな簡単な試験、などと事あるごとにネタにされ、しまった余計な事言うもんじゃなかったとつくづく思った。


ともあれ、とりあえず合格したことで、嬉しいというよりもほっとした気持ちの方が強い。