合コン

二日酔いで太陽の光が嫌な昼過ぎ。飲み過ぎていつもの時間に起きたものの、朝風呂に入っているうちに気持ち悪くなってきてしまい、布団にこもる。二度寝につきものの金縛りに遭い、何かが布団の上から身体を押し付けてくるような感覚。

昨日は知らない人たちばかりの飲み会に参加した。早い話が合コンだが、メンバー同士あまり気を遣わない雰囲気だったので、つい酒が進んでしまい自分には珍しく二日酔いになったという顛末だ。

自分の名前や住んで居る場所、働いている事の内容をお互いに喋りあったりして、そのうち趣味や休日の過ごし方や好きな音楽や映画の話になって盛り上がる。昨日は好きな映画を一つだけ挙げると、といった話題になったので、そのころぼくはお酒で頭がうまく回転していなかったこともあり、ターミネーター2という色気の欠片もない答えをした。ふーんみたいな感じで流されて次の人にバトンタッチした。次の人は、カッコーの巣の上で、と答えた。

当たり前かもしれないけれど、その場が楽しい会話と、相手を知るための会話は違うなと思う。自分の趣味や好みを話して、相手の趣味や好みを知る。でもそれは、青い言い方になるけれど、その事で本当の自分を表現した事にはならないと思うし、そんな事で本当の相手を知ったとも思わない。上段の会話はこれはこれで楽しいし相手の一部を知る事はできるけれど、それで何を知ったかといえば、なんの映画を好きかなんてあんまり意味のない情報だなと思う。

暴走電車が分岐点に差し掛かり、右の線路には知り合いが5人、左の線路には知らない人が50人居るとき、分岐点のスイッチを操作できる自分はどういう行動をとるか、みたいな話題の方がその人をよく知ることができるんじゃないかと思う。これでは例えが悪過ぎて、シーンとなること請け合いだけれど、その人をよく知る事ができる話題というのは、ぼくはこういった、選択や判断の基準なのではないかと思う。選択や判断の行動基準に共感出来るとき、その人と一緒に居てもストレスなく過ごせるのではないかなと思う。もちろんそれだけでは無いけれど。

そんな話題を初対面から出来るはずもないし、先述したように楽しい席にするための会話をする事は(少なくとも合コンにおいては)遥かに重要だ。ただ、それはちょっとまどろっこしいなとも感じる。合コンみたいな場で要求される話題や求めるものがズレていて、我ながら野暮な事を考えているものだと思う。そして、いつもこういう事を考えながら合コンの時間を過ごしている訳ではないです。