2014年2月に観た映画の事

舟を編む
三浦しをん原作の小説を映画化したもの。辞書編纂の話。原作は既読だが、原作の雰囲気にかなり近く、かなり控えめの演出で淡々と話が進む。原作ファンとしてはヒロインの宮崎あおいチョイスに最後まで違和感。演技は良いのだが。オダギリジョーは良かった。


最強のふたり
富豪だが車椅子の老人と、貧乏な黒人で介護職をしている若者の交流を描く。実話が下敷きの様だ。生まれも育ちも価値観の違う2人が介護を通じお互いに成長してゆく様子が温かい。黒人のブラックジョークや粗相にハラハラするが、老人の方がやたら気丈な性格で、さらりと受け流す感じなのが良い。また、黒人の発するブラックジョークにはなかなかの毒があるが、悪意は無いというか、イノセンスな感じで良い。


『恋と愛の測り方』
倦怠期の夫婦の話。お互いが離れている際に、それぞれ気になる異性に出会い、どうにかなったりならなかったりする。片方、あるいは両方とも浮気してしまうのだろうかという興味と緊張感がずっと続く。なんとなく登場人物の動きに納得いかない展開もあったが、恋愛ものはロジックじゃなくて感情だから仕方ない。ラストの切り方が良い余韻を残す。


英国王のスピーチ
吃音症の主人公が、兄王の引退から王になり、歴史上重大なスピーチを行うようになるまでを描く。主治医?とのやりとりなど、ベースはシリアスだがユーモアも盛り込まれていて楽しい。過去のトラウマを克服して成長していく様は静かながらも熱い。王族ならではの孤独感と、王族に限らない人間共通の成長みたいなものが感じられる。最後のスピーチはぐっとくる。


ナイロビの蜂
妻を事故で失った英国外交官が、その死を追う内に企業や国家の陰謀が絡んでいた事が明らかになり、その謎を追う話。製薬会社が半ば人体実験のようにアフリカ現地住民を投薬実験に利用している現実に心が痛む。またアフリカの田舎で牧歌的な雰囲気から突如、現地の強盗団が襲来し村を焼き払ったりするシーンがあったりと、色々とカルチャーショックを受ける。サスペンス調で深く切り込み、そこに家族愛の情緒が加わった良い映画。


ファミリー・ツリー
植物状態の妻、土地相続、家庭崩壊の波状攻撃に苦しむ夫の話。重い境遇とは裏腹にコメディタッチ、ハワイののほほんとした雰囲気で描かれる。娘2人は態度が悪いわ、娘の彼氏はチャラ男だわ、妻方のお父さんはいつまでも夫を厳しく避難するわ、妻はどうやら事故前に浮気をしていたらしいわと、ホント夫かわいそう。突然境遇が変わっても人間関係はそう変わらず、奇跡も起きる事は無い。そんな境遇でも家族で過ごしているうちに、なんとなく絆のようなものが生まれるものだという、希望みたいなものが感じられる映画だった。最後のシーンはかなりグッとくる。


ミッドナイト・イン・パリ
結婚を控えパリに旅行に行ったカップルの男性側が主人公。シナリオライターの主人公が夜のパリを徘徊していたらなぜかヘミングウェイやらピカソやらダリやら、歴史上のアーティストに出会う。作風が人物のイメージとなっていそうだが、読んだ事が無い作家が多く、ちょっと勿体ない気分になった。いつだって過去は素晴らしいと想像しがちだが、仮に過去に行ってもまたそこからの過去を素晴らしいと羨んでしまう、みたいな会話が印象的だった。


フレンチ・コネクション
フランス人の麻薬取引売買を負う、刑事コンビの話。実話が元となっているようだ。古い映画だが、(ジェイソンボーンの)ポール・グリーングラス監督がインスパイアされたというので観た。ドキュメンタリーチックな造りになっており、麻薬取引捜査の手法に長くシーンを割いている。


『ニュー・イヤーズ・デイ』
あまり印象に無し。


ナイロビの蜂』『ファミリー・ツリー』あたりが好み。