アニメ『アンゴルモア』感想

 アマゾンプライムで観た。

“時は文永11年(1274年)。 鎌倉武士・朽井迅三郎はある事件により、罪人として対馬へ流刑となる。 島を治める地頭代の娘・輝日は、対馬へたどり着いた流人たちに、 蒙古の大軍勢が対馬へ迫っていることを伝え、ある命令を下す。 「さぁ、お前たち。この対馬のために、死んでくれ」 死罪となる代わりに捨て石となれと命じられ、 是非も無い流人たちは、蒙古軍との戦いへ身を投じる。 怯むことなく対馬勢を率いて立ち向かう迅三郎。 島民を鼓舞し勇気づける宗家一門と輝日。 古来より対馬を守り続ける刀伊祓たち。 太宰府からの援軍が到着するまで、 迅三郎たち対馬勢は、蒙古軍の猛攻を防ぎきることができるのか? 全てを失い、流された率土の地・対馬で 一所懸命という志のもと、諦めない勇者たちが挑む七日間の戦いが始まる--!”

1クールでサクッと終わってわかりやすい感じのアニメを観たいと思い見つけた。なかなか面白かった。人がバタバタ死ぬ話なのでゴア表現もわりと多い。

よそでも散々言われているが、『皇国の守護者』にそっくりである。主人公の顔立ち(性格ではない)はまんま新城直衛だし、戦略的劣勢であること、援軍が到着するまでの期間持ちこたえるという任務も一緒である。そのためどうしても『皇国〜』と比較してしまう。アンゴルモアのほうは戦略的というよりは戦闘的であり、集団というよりは個人にフォーカスを当てた魅せ方であり、冷静というよりは情熱である。要は少年漫画チックである。

主人公の朽井迅三郎は、顔こそ新城直衛だが、性格や性質は大いに異なる。迅三郎は一騎当千の猛者であり、人の気持ちをよく汲み、ときに大胆にときに冷静で合理的な判断をする指揮官である。かなり完璧超人の感がある。そういうキャラクターが戦術的にも戦闘的にもバッサバッサと蒙古軍を切り倒す様は見ていて気持ちが良い。ヒロインもまた、容姿端麗で弓術に長じてツンデレの完璧超人ヒロインである。見た目に可愛いので出てくるだけで目の保養になる。

自分はあまり日本史の知識がなかったが、時代考証もよくなされているようである。蒙古軍も人種によって軍が分かれていたり、竹槍のルーツや投石器、爆弾(鉄砲)なども登場する。

戦闘面での気持ち良さが先行する分、戦略・戦術的な面であれっと思う部分が目についてしまう。例えば、対馬の宝物をあえて蒙古軍の2軍が合流する場所に放置することで、2軍が宝物を巡って同士討ちをするというシーンがある。この要素だけ見るとおおっと思うのだが、観せ方がなんともしょぼい。ただ同士討ちを行いました的な描写で終わっている。その戦術を行ったことによる効果(遅滞戦術)が非常にわかりづらいのだ。なんとももったいない観せ方だと感じる。そういうガバった戦術シーンが割と多いのでちょっと残念なところである。寡集の軍が多勢をあっと言わせるというのは気持ちのいいシチュエーションなのだが、その理屈づけや説得性をもうちょっと欲しいなと感じる。

ストーリー全体としては完全な負け戦だ。その中で、諦めずに挑む姿であったり、死に様であったり、戦う意味だったりと、熱いものを感じさせる。そういう要素にビビッときた人は楽しめると思う。