映画『ROOM』感想

アマゾンプライムで観た。今は有料になっているようだ。

 

『部屋』に居るお母さんと子供。一見楽しそうに暮らしているも、母親の様子がおかしい。どうやら監禁されているようだ。冷蔵庫、ベッド、洗面所、台所、トイレ。必要なものはなんでも揃っている。たまに「あいつ」が顔を見せにくる。母親は、子供と協力しなんとか脱出しようとするが…

 

タイトルが示す通り、部屋が重要な意味を持つ映画である。物理的にももちろんそうだし、精神的な意味合いにおいてもそうだ。

 

最初は、監禁から脱出してハッピーエンドになる物語だと思って観ていたが、それだけではなかった。意外と脱出パートは短く、脱出したあとにこの映画の本当に伝えたいことが続く。いわば、ハッピーエンドの続きの話と言っていい。元の暮らしに戻るということはどういうことなのか。子供にとっては、物心ついて頃から過ごしていた場所があの監禁されていた部屋であり、世界には母親と「あいつ」しかおらず、部屋の中だけが世界の全てだった。その世界が突然拓けていくとどうなるのか。そして、2人きりでは見えなかった、あるいは監禁されていたからこそ、見過ごされていた問題が表出してくる。

 

演出は最小限で、地味な映画だが、緊張感が持続して最後まで飽きずに見ることができた。家族が自分たちの居場所を取り戻す話。

 

評価:なかなか良かった(★★★)