上司というスタンド

少し前、以下

 

というブログを書いた。要約すると自分は色んな関わった人たちで作られている、というものだ。

 

自分は比較的転職回数が多いせいもあり、また業界も全然違ったりしたので、様々な業界の上司に出会った。必ずしも業界のトップランナーばかりでは無かったが、教えられた事は様々で、それが今に活きているなぁという感覚がしばしばある。おれはそういう人たちで出来ている。

 

先日、実業家の友達が急遽ヘルプを求めてきたので夜に手伝いへ行った。といっても、宛名を書いたりするだけの単純労働力としてである。猫の手も借りたいような状況であったようだ。ユーザーさんに出すお知らせの手紙の宛名を書くことに加え、その封筒に案内文を同封するという。その案内文は、その友達が原案を書いていたので、それをおれが校正するという感じで作業した。

 

その校正をする際に浮かんだことは、こうだ。てにをはがきちんと出来ているか、主語が明確か、漢字とひらがなのバランスはどうか、高齢者向けなのでシンプルで分かりやすいものになっているか、どういうアクションをとってほしいかがきちんと書かれているか...などなど。

 

こういったことはすべて、昔に商業サイトのメルマガを書いていた仕事をしていた時の上司の教えであった。センシティブな層に向けてのメルマガだったので、その上司には1つのメルマガを2回も3回も直された。本当に細部まで気を遣う人で、直しが入るとガッカリしたけれど出来たものは本当に隙がなく、クレームめいたものが入ったことはただの一度もなかった。

 

だから上記のような校正をしているときは、上司だったらどういう校正をするだろうか、という視点で考えながら作業をした。それはあたかも、上司がおれのスタンド(幽波紋)として背後に立っているようでもあった。上司固有の能力をおれが手に入れて使っているみたいな感覚だ。元はおれオリジナルじゃないけれど、そういうものが沢山集まるとおれというオリジナルになる。

 

そういうふうに、過去の教えに感謝するという場面に遭遇することが最近は多い。

 

ネタバレ無しの軽い感想『カメラを止めるな!』

ファーストデイで観た。行くかどうか迷っていたが、TLで信頼できる人が何人か観に行って面白かったとの報を見て、さらに先日職場で趣味が合う人も「おススメ」だということを聞いた。そこでやっと背中を押され切って観に行ったという感じである。

 

ネタバレ無しの感想。それ感想の意味あるのかという気もするが。しかも感想短い。

 

かなり面白かった。気になるなら観に行ったほうがいい。1人で行っても良いが、2人以上で行っても楽しめると思う。デートで行くのもおススメできる。変にサブカル感・マニア感があるわけでもなく、万人向けで親しみを持てて、解釈揉めなどが起こりづらいタイプの映画だからだ。ただし冒頭からしばらくは手ブレがひどく酔いやすいので人によっては注意が必要。

 

観始めてもかなり後になるまでこの映画のテーマが分かりづらい。テーマや着地点が分かりづらいところが構造上の面白さを生んでいる。役者の演技も良い。なるほど良く考えたな(←偉そう)、という感じがある。ただ、こういったタイプの映画は他にも観たことがあるし(監督名や作品名を書いてしまうとそれもネタバレになりそうなので伏せるが)、ジャンルとしても存在するので、特別すげええええええという感じはなかった。けっこう映画を観ている人だと、あーこういうタイプのやつね、と思うかもしれない。

 

自分は当初ツイッターの有名人?が軒並み絶賛していたのを知って少々引き気味で傍観していた。その後原作をめぐるゴタゴタがありさらに引き気味になっていた。ただ、原作どうこうとか有名人ツイートのステマっぽさ(?)を差し引いても面白い。

QP

毎日夜に何らかの予定が入っていると、週の後半になってくると明らかにへろへろになっていく。そこそこ歩き回る職種でもあるので、身体的な疲労もあるが、それよりも内臓の疲労が、身体全体の重さとなって被さる。そうするとかなりつらくなってくる。自分は食事量は意図的に少なく食べるようにしているのでいいが、アルコールについてはそこそこ呑んでしまう性質である。流石に平日に、次の日に二日酔いになるような飲み方はしないが、そこそこの飲みが毎日続くとしんどい。

 


疲労の回復に一番効果があるのは睡眠だ。特におれは(薄々気づいていたが)ロングスリーパーなので、少なくとも6時間眠れていないと翌日のHPが最大値まで回復しない。それを続けていくとだんだんと朝時点でのHPが下がった状態で1日を初めなければいけないのできつくなる。できれば睡眠7時間はほしい。

 


そういった睡眠が一番基本なのは当然の認識として、それだけで回復できなさそうな感覚や、睡眠時間が取れないひが続いたような時期にはプラスアルファとして次の方法を使う。そろそろやべーなと思った帰りにはコンビニで『QPコーワヒーリング』を買って帰る。本当は瓶で買いたいがどうやら売っていないようだ。こいつはQPコーワのノンカフェイン版で、要は寝る前に飲むタイプの栄養剤と言っていい。ノンカフェインなので睡眠に影響を与えないのがよい。こいつを飲んで寝ると翌日はそこそこ目覚めがよく、若干身体が回復しているような感じもある。元気一杯みたいな感じにはならないが、何もしないよりかなりマシである。

 


こいつを使うのは週2回まで、中2日は空けるようにしている。それでも多いと思う。こんなものに頼りたくはないのだがな…。

流れとか勢いとかリズムとかストーリーとか

ここのところお金に関する個人的な事故が多い。ここ一週間くらいの間でも、等分のはずの飲み会費用がなぜかおれだけ高かったり、自分で企画した会の会費を集金することを忘れたり、お客さんのところに行く電車が故障で止まりタクシーを使うハメになったり(タクシーを年1回乗るかどうかというレベルのおれにとっては超レア事件である。だいたい、タクシーに乗ること自体あまり気に入らない)、これまた別のお客さんの書類不備で遠くの駅まで自費で行くことになったり(こういった手戻り自体起こることが少ないのに、2回も発生した)。

 

こんなことを書いたが、自分はそれほど、流れとか勢いとかリズムとかいう概念を信じない。上に書いたことだって、たまたま重なったお金に関する事故(?)を集めて過去を振り返ったら、なんとなく流れめいたものが出来ているだけのことだ。そんなものはねぇ。すべては独立した事実にすぎない。明らかになった事実に関して、あとから理由づけしているだけのことだ。でも、一つ一つを関連付けてみるとそこに流れ、勢い、リズム、ストーリーみたいなもの(あくまで『みたいなもの』)が作られる。そういうふうな考え方そのものは理解できる。

 

重要なことは、その流れとか勢いとかリズムとかストーリーを認識してそれが自分の役に立っているかどうかだと思う。自分の精神安定上、役に立つストーリーならいいが、そうでない(こういうことが立て続けにおこって不幸だー、もうだめだ、というふうに自己評価が落ちたり精神的に落ち込んだり)ならば、それは意図的に断ち切る必要があるように思う。

 

どう考えようとも無駄に失ったお金は返ってこないのだが。

いろんなものでできている

数日前。「(打ち合わせに)行ってきます。」と上司に声をかけ、自分から手を出して上司と握手をしたその直後にハッとした。あ、『出がけの握手』をした、と思った。この『出がけの握手』は、おれが今の会社に入った当時の直属の上司がよくやっていた所作だ。ネーミングは今考えたんだけど。


その上司と始めて会ったのはまだ前職の頃で、転職の面談で始めて会った際に握手をしてくれたのを覚えている。始めて会って、しかも面談の前にいきなり握手なんだ、と当時はちょっとびっくりしたものだ。握手って、当時はちょっと恥ずかしい感じもあった。会社の文化だと彼は言っていた(実際にそういう文化であることは入社後に改めてわかった)が、彼ほどたくさん握手をしている人を見たことはない。入社後も事あるごとに上司と握手をしていた。何かを達成した時や、一緒に打ち合わせに行って別れるときなど。そしてもう一つ、これからここ一番の打ち合わせだというときに気合を入れるための『出がけの握手』だ。特に仕事を覚えたての頃はその握手でとても勇気をもらえたものだった。もう何百回やったか分からない。


入社後数ヶ月してその上司は別部署に配属になり、拠点も異動となったため会えていない。そんな上司から教えられた『出がけの握手』を、いつのまにか自然に行っているということを、その日久しぶりに自覚した。すっかり習慣になったということだろう。こういうふうに習慣が人との関わりで作られることがあるのだと思った。そして習慣というのは、その人そのものとなる。自分はすっかり『握手をする人』になった。

 

『ちやはふる』という漫画でこんなエピソードがある。かるた部部長の太一が大会でメンバーに『「だって」と「でも」(言い訳)は禁止だ!うちは小3の頃から母親にそう躾けられた。』という。主人公の千早はそれを聞き、『私、太一のお母さん怖くてちょっと苦手だけど…。すごいねえ。太一のそういう強いところはお母さんがつくったんだねぇ。』と褒める。その言葉を受けて太一は、母ではなく自分のライバルを思い出しながらこう思う。『千早、おれはいろんなものでできてるよ。おまえだってそうだろう?』と。


いろんなものでできているおれは、今日また一つ歳をとった。そしてまたこれから先、いろんなひとのいろんなものでできていくだろう。

余裕とルパン

先週一週間が怒涛のように忙しく感じた。日曜は朝から夕方までお客さんと会っていて、帰ったらもうボロ雑巾のようになっていた。夕食を軽くとり、酒とQPを飲んで21時半頃には就寝した。夜半にいちど目が覚めたが今日朝の目覚めはよかった。長時間睡眠とQPが効いたのかもしれない。

 


余裕がなくなってくると機嫌や態度に現れてしまいがちだ。そうならないよう修行をしているが、なかなか理想的な状態には近くない。気付いているときはまだいいが、気づいていないときがとても危ない。

 


唐突だがここでルパンの話をしたい。10年ほど前だが2chで、名無しが『私男だけど、ルパンのキャラ4人のなかでは、いつでも余裕を忘れないルパンが一番好き』と書いていたのを見かけた。それ以来おれの中のルパン感が変わった。それまでは、なんかいけ好かないしあんまり(見た目も)カッコよくもないなと思っていた。ところがそういう見方をしてみると、たとえば窮地に至っても余裕をもって物事に対処する。ピンチでもジョークの1つ2つでも飛ばす。その姿というのはなかなかカッコいい。大器を感じさせる。精神的な余裕がある(ように見える)人は頼りにされる。なぜ彼がリーダー格なのかがわかった気がした。

 


ルパンのように余裕がなくても余裕があるかのように振る舞えればベストだ。そう振る舞うことは、もちろん自分の平生のためであったり、あるいは自分の成長のためでもあるが、自分の周りにいるひとたちが気分良くなるためにもそうなりたいと思えるといい。余裕がないときの多くは、自分のことしか考えてない状態だから、周りへの配慮がおざなりになる。自分中心になる。そうではなくて、周りが気分良くなってくれるようにするには、という目的から始める。そういうとき、自分が無理に相手に合わせて消耗するということにならないように気をつける。相手と気分良い時間を過ごせたその先にあるものを目指そうとする。そうすれば、自分の気持ちに負担をかけずに自然に余裕がある態度が持てるようになる。かもしれない。

『惑星をつぐ者』

TL眺めていたら表題の漫画がKindle化していたとの報をみて、光速でダウンロードした。懐かしい。おれが中学生くらいの頃に連載していた気がする。少年ジャンプで。非常にも9週打ち切りという憂き目に遭ってしまったが(おれにしては珍しくアンケートまで出したのに…)、当時すごい好きな漫画だったので、こうして電子書籍でまた読めるのは嬉しい。

 

"とある銀河系の中では、さまざまな異星人達が存亡を賭け宇宙に進出している。その中で人類は滅亡しつつあった――。多くの人類が奴隷として異星人に従う中、全宇宙で犯罪を重ね指名手配になったバラダット・ナイブスという一人の男が灼熱の星ダウロスにやってきて……。"

 

SFである。とにかくハードなSFで、改めて読むとよくこんな劇画調かつハードな設定の漫画が少年ジャンプでやっていたものだと思う。そのため人気が出なかったのだろうが…。けれども当時のおれは、主人公ナイブスが使う『自在剣』(スパイラルナイフ)(この名前もカッコいい)がめっちゃかっこいいと思った。また、宇宙が舞台という新鮮さ、いろんな種族がかっこよく登場するその世界にワクワクしたものだ。

 

特に自在剣。剣と書いてあるが、光球を飛ばしてその軌跡が囲う敵を、サイコロのように切り刻むのだ。もうマジかっこいい。それを剣と呼ぶセンスがまたいい。さらに、自在剣を持つもう1人のキャラが登場するのだが、彼の自在剣は古い(始祖)ためナイブスのものと見た目や刻み方が異なる。そういう細かい設定も堪らぬ。

 

他にも、オーロラが綺麗に見える星は磁気がないから、だとか、宗教をもってアンバランスな集団を率いている、だとか、細胞振動させて体温調節するといった細かい設定まできっちり考えられている漫画なので、描写に説得力があるのがいい。

 

展開の思い切りも今見るとすごくいいセンスだ。例えば2話は、いきなり新しい敵と一線交えた後から話が始まる(一戦目も1コマでサラッと説明する)。また3話でも、2話で奪った宇宙船がいきなり撃墜されるシーンから始まる。2話3話で打ち切りを織り込んだ端折った展開をするとは思えないので、こういうのは作者のセンスであろうと思う。

 

人外の生命体もたくさん出るのだが、造形も内面もかっこよくて魅力的だ。

 

打ち切りなのだが、そうは思えないほど綺麗にまとまっている良作なので、SF好きなら読んでみてほしい。